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介護記録の書き方の基本|そのまま使える場面別の例文とNG表現の言い換えを10年介護経験者が解説

介護記録の書き方の基本|そのまま使える場面別の例文とNG表現の言い換えを10年介護経験者が解説 介護福祉士

🎯 結論(先に要点)

介護記録の基本は「5W1H+客観的事実」です。見たまま・聞いたままの事実を書き、自分の解釈や感情と区別することが最重要ポイント。「不穏」「いつも通り」などの曖昧な言葉は具体的な行動描写に置き換えます。記録はケアの質・チームの情報共有・職員自身を守る証拠の3つの役割を持つ、介護職の重要スキルです。

相談者

相談者
介護の仕事を始めたばかりですが、介護記録に何を書けばいいのか分からず、いつも時間がかかってしまいます。先輩に「主観を書かないで」と注意されたのですが、どう直せばいいのでしょうか…。
10年介護経験者

10年経験者
記録は新人さんが最初につまずくポイントですね。コツは「カメラに写ること・録音されることだけを書く」という意識です。この記事で基本の型と場面別の例文、NG表現の言い換えを覚えれば、記録のスピードも質も一気に上がりますよ。

介護記録は、介護職が毎日必ず行う業務でありながら、書き方を体系的に教わる機会が少ない仕事のひとつです。

「何を書けばいいか分からない」「時間がかかる」「先輩に直される」という悩みは、新人からベテランまで共通しています。

しかし、記録には明確な「型」があり、それを覚えれば誰でも早く正確に書けるようになります。

この記事では、介護現場で10年間、自分でも書き、新人指導でも教えてきた筆者が、次の内容を解説します。

  • 介護記録が持つ3つの役割
  • 基本の型「5W1H+客観的事実」
  • 食事・入浴・排泄・夜間など場面別の例文
  • NG表現と言い換えの一覧
  • 記録を早く書くコツと事故記録の書き方
✍️ この記事を書いた人
介護現場で10年勤務した介護福祉士・社会福祉士の有資格者。特別養護老人ホームやデイサービスで介護職から現場リーダーまで経験し、採用・面接にも携わってきました。現場と採用の両側の視点で解説します。

介護記録は何のために書くのか|3つの役割

介護記録が持つ3つの役割

書き方のテクニックの前に、記録が「何のためにあるのか」を押さえると、書くべき内容が自然と見えてきます。

役割1:チームの情報共有

介護は24時間交代制のチームケアです。

日勤者が書いた記録を夜勤者が読み、夜勤帯の記録を翌日の日勤者が読むことで、切れ目のないケアが成立します。

あなたの記録は「未来の時間帯に働く仲間へ向けた申し送り」です。

役割2:ケアの質の向上

記録が蓄積されると、「食事量が下がってきている」「夜間の覚醒が増えている」といった変化に気づけます。

ケアマネジャーがケアプランを見直す際も、日々の記録が判断材料になります。

役割3:職員と施設を守る証拠

事故やトラブルが起きたとき、「適切なケアをしていたこと」を示せるのは記録だけです。

記録がなければ、どれだけ丁寧なケアをしていても、それを証明する手段がありません。

保存期間について
介護サービスの記録は、運営基準により完結の日から2年間の保存が求められ、自治体の条例では5年間と定められている場合もあります。それだけ公的に重要な書類だということです。

つまり記録は「業務の付け足し」ではなく、ケアの一部であり、あなた自身を守る盾でもあるのです。

基本の型は「5W1H+客観的事実」

基本の型5W1H+客観的事実

介護記録の基本の型は、5W1Hに沿って客観的事実を書くことです。

要素 内容
When(いつ) 時刻・時間帯 14時30分ごろ
Where(どこで) 場所 食堂のテーブル席で
Who(誰が) 利用者・関わった職員 Aさんが
What(何を) 起きたこと・行ったケア 車いすから立ち上がろうとされた
Why(なぜ) 本人の発言など根拠 「トイレに行きたい」と話される
How(どのように) 対応と結果 職員が付き添いトイレ誘導。排尿あり

そして最も重要なのが、「客観的事実」と「主観(解釈・感想)」を区別することです。

客観的事実とは、カメラに写ること・録音されることです。

主観とは、それを見たあなたの頭の中に浮かんだ解釈です。

例で比べてみましょう
主観的な記録:「不穏だった」
客観的な記録:「20時ごろ、廊下を行き来しながら『家に帰る』と大きな声で繰り返される」

「不穏」はあなたの解釈であり、読んだ人によってイメージがバラバラになります。行動と発言をそのまま書けば、誰が読んでも同じ場面を再現できます。

本人の発言は「」(かぎかっこ)でそのまま書くのが原則です。

聞き取れた言葉をそのまま残すことで、記録の証拠としての価値も高まります。

解釈を書きたい場合は、「〜と話されることから、◯◯の可能性も考えられる」のように、事実と推測を分けて書きましょう。

場面別の記録例文|食事・入浴・排泄・夜間

そのまま使える場面別の例文

現場でよく書く場面ごとに、そのまま使える例文を紹介します。

【食事】

例文
「昼食は主食10割、副食8割摂取。むせ込みなし。『今日の魚はおいしいね』と笑顔で話される。食後の水分はお茶150ml摂取。」

食事記録のポイントは、摂取量・むせ込みの有無・本人の様子の3点セットです。

嚥下の状態は誤嚥性肺炎の早期発見につながるため、「むせ込みなし」も立派な情報になります。

【入浴】

例文
「一般浴にて入浴。洗身・洗髪は一部介助、背部のみ職員が実施。右下腿に直径2cmほどの内出血様の変色を発見し、看護師に報告。本人に痛みの訴えなし。」

入浴は全身の皮膚を観察できる貴重な機会です。

皮膚トラブルを発見した場合は、部位・大きさ・色・本人の訴え・報告先まで書きます。

【排泄】

例文
「10時、トイレ誘導にて排尿あり。14時、パッド内に多量の排尿あり交換。排便は3日間なし、看護師に報告し下剤の調整を検討との返答。」

排泄は健康状態のバロメーターであり、回数・量・性状が観察ポイントです。

【夜間】

例文
「22時、23時、1時の巡視時は臥床され、寝息が聞かれる。3時の巡視時に覚醒しており『眠れない』と話されるため、温かいお茶を提供。3時30分に再度訪室すると入眠されている。」

夜間帯は「眠っていた」で済ませず、巡視した時刻ごとの様子を書くと、睡眠パターンの変化に気づけます。

どの場面でも共通するのは、数字(量・時刻・回数)と本人の言葉を入れると記録が具体的になるということです。

NG表現と言い換え一覧

NG表現と言い換え一覧

介護記録には、避けるべき表現がいくつかあります。

よくあるNG表現と、その言い換え例を一覧にまとめました。

NG表現 なぜNGか 言い換え例
不穏 解釈であり人により意味が違う 「大声を出しながら廊下を歩き回られる」など行動を具体的に
暴言を吐く 評価的・具体性がない 「『触るな』と強い口調で言われる」と発言をそのまま
いつも通り 情報量ゼロ 「朝食は全量摂取、表情穏やか」など具体的に
様子を見る 何を見るのか不明 「発赤の拡大がないか、次回入浴時に確認する」
〜してあげた 上下関係を感じさせる 「〜を介助した」「〜していただいた」
認知が進んだ 「認知」は誤用・評価的 「日付を尋ねる回数が先週より増えている」など事実を
勝手に〜する 非難のニュアンス 「職員が見守りに入る前に、ご自身で立ち上がられた」

共通するのは、評価・非難・曖昧さを排除して、行動と発言の描写に置き換えるという原則です。

介護記録は、本人や家族から開示請求があれば見せる公的な書類です。

「家族が読んでも不快にならないか」を基準にすると、自然と適切な表現になります。

10年介護経験者

10年経験者
新人指導でよく伝えていたのは「記録用紙の向こうに家族がいると思って書く」ということです。この意識だけで、評価的な言葉や雑な表現はほとんど消えますよ。

記録を早く書く5つのコツ

記録を早く書く5つのコツ

記録の質を保ちながらスピードを上げるコツを5つ紹介します。

コツ1:ケアの直後にメモを取る

記憶は数時間で曖昧になり、思い出す時間が記録を遅くする最大の原因です。

ポケットのメモ帳に時刻と単語だけ書いておけば、清書は数分で終わります。

コツ2:自分の「定型文」を持つ

食事・入浴・排泄など、場面ごとの基本形を頭に入れておき、変化があった部分だけ差し替えます。

コツ3:観察ポイントを先に決めておく

「今日はAさんの食事のむせ込みを見る」と決めてからケアに入ると、書く内容に迷いません。

申し送りやケアプランの短期目標が、観察ポイントのヒントになります。

コツ4:迷ったら「事実だけ」に絞る

うまい文章を書こうとする必要はありません。

時刻・行動・発言・対応・結果が入っていれば、記録として十分合格です。

コツ5:先輩の記録を読む

自分の施設で「読みやすい」と感じる先輩の記録は、最高のお手本です。

表現のストックが増えるほど、書くスピードは上がります。

タブレット記録の場合
記録ソフトの定型文機能やテンプレート機能があれば積極的に使いましょう。ただし定型文の貼り付けだけで済ませず、その日ならではの様子を一文加えることが、記録の価値を保つポイントです。

事故・ヒヤリハット記録の書き方

事故・ヒヤリハット記録の書き方

転倒や誤薬などの事故、およびヒヤリハットの記録は、通常の記録以上に正確さが求められます。

事故記録で最も大切な原則は、「発見時の状態」と「推測」を明確に分けることです。

例で比べてみましょう
NG:「Bさんがベッドから転落した。」(転落の瞬間を見ていないのに断定している)
OK:「21時の巡視時、Bさんがベッド脇の床に臀部をつけて座り込んでいるところを発見。『下りようとして滑った』と話される。」

見ていない瞬間を断定して書くと、事実と異なる可能性があり、後の検証を誤らせます。

事故記録に入れるべき要素は次のとおりです。

①発見の時刻と状況、②本人の状態(外傷・痛みの訴え・バイタルサイン)、③本人の発言、④実施した対応と報告先、⑤その後の経過観察の内容です。

対応の時系列も「21時05分、看護師に報告。21時15分、看護師が観察しバイタル測定」のように時刻付きで残します。

ヒヤリハットは「事故にならなかった気づき」であり、書いた人が責められるものではありません。

むしろヒヤリハットの報告が多い職場ほど、大きな事故を防ぐ力があります。

「報告書を書くのは罰ではなく、仲間への情報提供」という意識で、気づいたことを積極的に残しましょう。

よくある質問

よくある質問

介護記録に主観は絶対に書いてはいけないのですか?

事実と区別されていれば、専門職としての気づきを書くこと自体は問題ありません。「『家に帰る』と繰り返される(夕方に多く、日没後は落ち着かれる傾向)」のように、事実を先に書き、傾向や推測は括弧書きや「〜と考えられる」で区別するのがコツです。NGなのは「不穏」「わがまま」のような評価だけを書くことです。

本人の発言はそのまま書くべきですか?方言や乱暴な言葉でも?

原則としてそのまま「」で記録します。発言は重要な客観的事実であり、言い換えると情報が変わってしまうためです。乱暴な言葉であっても、それ自体が本人の状態を示す大切な情報になります。ただし前後の状況(きっかけや対応)もセットで書くと、単なる悪印象の記録になりません。

記録を書き間違えたときはどう訂正すればいいですか?

手書きの場合は修正液や塗りつぶしは使わず、二重線を引いて訂正印を押し、正しい内容を書き直すのが基本です。元の記載が読める状態を保つことで、改ざんを疑われない訂正になります。電子記録の場合は施設の記録システムの訂正手順(修正履歴が残る方法)に従ってください。

「様子観察」と書くのはなぜダメなのですか?

「何を・いつまで・どうなったら報告するか」が伝わらないためです。「右膝の腫れが引くか、明日の朝まで1時間ごとに確認。腫れの拡大や痛みの訴えがあれば看護師に報告」のように、観察する項目・頻度・報告基準まで書くと、次の勤務者がそのまま動ける記録になります。

記録の保存期間はどれくらいですか?

介護サービスの記録は、国の運営基準では完結の日から2年間の保存が求められています。ただし自治体の条例で5年間と定められている場合も多く、介護報酬の返還請求への備えから実務上5年保存とする施設が一般的です。自分の施設のルールを確認しておきましょう。

まとめ|記録の型を覚えれば、仕事はもっと楽になる

まとめ

介護記録は、チームの情報共有・ケアの質の向上・職員自身を守る証拠という3つの役割を持つ、ケアの一部です。

基本の型は「5W1H+客観的事実」で、カメラに写ること・録音されることを書き、解釈と区別するのが最大のポイントです。

「不穏」「いつも通り」などの曖昧な表現は、行動と発言の具体的な描写に置き換えましょう。

ケア直後のメモ、自分の定型文、観察ポイントの事前設定で、記録のスピードは確実に上がります。

記録に自信がつくと、申し送りも報告も的確になり、チームからの信頼も高まります。

今日の記録から、まずは「本人の言葉を1つ入れる」ことから始めてみてください。

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