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介護保険制度の基礎知識|申請からサービス利用開始までの流れを10年介護経験者がやさしく解説【2026年】

介護保険制度の基礎知識|申請からサービス利用開始までの流れを10年介護経験者がやさしく解説【2026年】 介護福祉士

🎯 結論(先に要点)

介護保険サービスは「市区町村の窓口に申請→認定調査と主治医意見書→審査・判定→要介護度の認定→ケアプラン作成→利用開始」という流れで使えるようになります。申請は無料で、地域包括支援センターなどによる代行も可能です。自己負担は原則1割(所得により2〜3割)。この記事では、制度の全体像、申請の5ステップ、要支援・要介護7段階の目安、つまずきやすいポイントまでを整理します。

相談者

相談者
親の介護がそろそろ必要になりそうなのですが、介護保険って何から始めればいいのか、全然分かりません。
10年介護経験者

10年経験者
最初の一歩はシンプルで、お住まいの市区町村の介護保険窓口か、地域包括支援センターに相談することです。そこから先は決まった型があるので、この記事で全体の流れをつかんでおけば大丈夫ですよ。

「介護保険という言葉は知っているけれど、仕組みはよく分からない」という方は多いのではないでしょうか。

介護現場で10年働いてきた中で、ご家族から最も多く受けた質問も「どうすればサービスを使えるのか」でした。

介護保険は、40歳以上の人みんなで保険料を出し合い、介護が必要になったときに費用の一部負担でサービスを受けられる社会保険制度です。

仕組みは複雑に見えますが、利用までの流れには決まった型があります。

この記事では、制度の全体像から申請の流れ、要介護度の目安、自己負担の考え方までを、専門用語をかみ砕いて解説します。

  • 介護保険制度の全体像(だれが・いつから使える?)
  • 申請からサービス利用開始までの5ステップ
  • 要支援・要介護度7段階のおおまかな目安
  • ケアプランと自己負担(1〜3割)の基礎知識
✍️ この記事を書いた人
介護現場で10年勤務した介護福祉士・社会福祉士の有資格者。特別養護老人ホームやデイサービスで介護職から現場リーダーまで経験し、採用・面接にも携わってきました。現場と採用の両側の視点で解説します。

介護保険制度とは|まず全体像をつかむ

介護保険の全体像

介護保険は、介護が必要になった人を社会全体で支えるための公的な保険制度です。

制度を運営しているのは市区町村(保険者)で、私たちは40歳になると全員が被保険者として保険料を納めます。

加入者は、年齢によって次の2つに分かれます。

区分 対象 サービスを使える条件
第1号被保険者 65歳以上の方 原因を問わず、要介護(要支援)認定を受ければ利用可
第2号被保険者 40〜64歳の医療保険加入者 国が定める特定疾病(脳血管疾患・若年性認知症など)が原因の場合に利用可

65歳以上の方は、原因を問わず「介護や支援が必要」と認定されればサービスを使えます。

40〜64歳の方は、加齢に伴う特定の病気(特定疾病)が原因で介護が必要になった場合に対象となります。

財源は、みんなで納める保険料と、国・都道府県・市区町村の公費でまかなわれています。

「保険料を払っているのだから、必要になったら遠慮なく使っていい制度」だと考えてください。

ポイント
サービスを使うには「要介護(要支援)認定」を受けることが必要です。65歳になると介護保険証(被保険者証)が交付されますが、持っているだけではサービスは利用できません。まず申請、と覚えてください。

申請からサービス利用開始までの5ステップ

申請の流れ5ステップ

介護保険サービスを利用するまでの流れは、次の5ステップです。

ステップ1|市区町村の窓口に申請する

本人または家族が、市区町村の介護保険担当窓口で「要介護認定」を申請します。

申請に費用はかかりません。

本人や家族が窓口に行けない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに申請を代行してもらうこともできます。

ステップ2|認定調査と主治医意見書

申請すると、調査員が自宅や入院先を訪問し、心身の状態について聞き取り調査を行います。

あわせて、市区町村からかかりつけ医に「主治医意見書」の作成が依頼されます。

現場からのコツ
認定調査の場では、本人が普段より「しっかり」振る舞ってしまうことがよくあります。普段の様子(できないこと・困りごと・ヒヤリとした出来事)をメモにまとめて調査員に渡すと、実態が伝わりやすくなります。

ステップ3|審査・判定

調査結果をもとにコンピュータによる一次判定が行われます。

その結果と主治医意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定を行います。

ステップ4|認定結果の通知

原則として申請から30日以内に、認定結果が通知されます。

結果は「要支援1・2」「要介護1〜5」「非該当(自立)」のいずれかです。

ステップ5|ケアプラン作成→サービス利用開始

認定が出たら、どのサービスをどれくらい使うかの計画(ケアプラン)を作り、サービス事業者と契約して利用開始です。

ケアプランについては、後の章で詳しく説明します。

要支援・要介護度とは|7段階のおおまかな目安

要介護度7段階の目安

認定結果は、介護の必要度に応じて7段階に分かれます。

あくまで大まかな目安ですが、次の表のようなイメージです。

区分 状態のおおまかな目安
要支援1 日常生活はほぼ自立。一部に見守りや支援が必要
要支援2 要支援1より支援が必要な場面が多いが、状態の維持・改善が見込める
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定で、部分的な介助が必要
要介護2 食事や排せつなどにも部分的な介助が必要
要介護3 ほぼ全面的な介助が必要。在宅介護と施設入所の分かれ目になりやすい
要介護4 介助なしでは日常生活を送ることが難しい
要介護5 ほぼ寝たきりで、意思の疎通が難しい場合もある

要介護度によって、利用できるサービスの種類や、1か月に介護保険で使える上限額(区分支給限度基準額)が変わります。

なお「非該当(自立)」と判定された場合でも、市区町村が行う総合事業などで利用できるサービスがあることがあります。

あきらめずに、窓口や地域包括支援センターで確認してみてください。

ケアプラン作成からサービス利用開始まで

ケアプランと利用開始

認定が出たら、次は「どのサービスを、どのくらい使うか」を決める計画=ケアプランを作ります。

ケアプランの相談先は、認定結果によって次のように異なります。

認定結果 相談先
要支援1・2 地域包括支援センター
要介護1〜5(在宅) 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)
施設への入所を希望 入所する施設のケアマネジャー

ケアマネジャーにケアプラン作成を依頼しても、自己負担はありません(全額が介護保険から給付されます)。

プランの原案ができると、本人・家族・サービス事業者が集まる「サービス担当者会議」で内容をすり合わせます。

内容に納得できたら、各サービス事業者と契約して、いよいよサービス利用開始です。

利用できるサービスは、大きく分けると次のような種類があります。

種類 代表的なサービスの例
自宅で受ける 訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、訪問入浴
施設に通う 通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)
短期間泊まる 短期入所生活介護(ショートステイ)
環境を整える 福祉用具のレンタル・購入、住宅改修
施設に入所する 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など

どれをどう組み合わせるかを、本人の状態と家族の状況に合わせて設計するのが、ケアプランの役割です。

現場からのアドバイス
ケアマネジャーとの相性はとても大切です。「話をよく聞いてくれるか」「説明が分かりやすいか」を見て、どうしても合わないと感じたら、ケアマネジャーは変更することもできます。遠慮せず、事業所や地域包括支援センターに相談してください。

自己負担はいくら?|1〜3割負担と限度額の考え方

自己負担のしくみ

介護保険サービスを利用したときの自己負担は、かかった費用の原則1割です。

一定以上の所得がある65歳以上の方は、2割または3割の負担になります。

また、要介護度ごとに「1か月に介護保険を使える上限(区分支給限度基準額)」が決まっており、上限を超えて利用した分は全額自己負担になります。

具体的な限度額や負担割合の基準は改定されることがあるため、最新の金額は市区町村の窓口や公式サイトで確認してください。

負担を軽くする制度もあります
自己負担が高額になった月には「高額介護サービス費」など、負担を軽減するしくみがあります。また、施設入所では介護サービス費のほかに居住費・食費がかかりますが、所得に応じた軽減制度もあります。該当しそうなときは、市区町村の窓口に相談してみてください。

「思ったよりお金がかかりそう」と感じても、軽減制度まで含めて考えると印象が変わることは多いです。

一人で計算して悩む前に、ケアマネジャーや窓口に概算を出してもらいましょう。

つまずきやすい3つのポイント|現場からのアドバイス

つまずきやすい3つのポイント

最後に、ご本人やご家族が実際につまずきやすいポイントを3つ紹介します。

1|「まだ大丈夫」と申請が遅れる

介護保険は、申請から認定まで原則30日ほどかかります。

転倒や入院をきっかけに急に介護が必要になり、慌てて申請するケースが非常に多いです。

「そろそろかな」と思った時点で、相談だけでもしておくことを強くおすすめします。

2|状態が変わったのに要介護度がそのまま

認定後に状態が大きく変わった場合は、有効期間の途中でも「区分変更申請」ができます。

実際の状態と要介護度が合っていないと、必要なサービスの量を確保できません。

「最近、介助の場面が増えたな」と感じたら、ケアマネジャーに相談してみてください。

3|どこに相談すればいいか分からない

迷ったら、まずは地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは高齢者に関する総合相談窓口で、介護保険の申請代行から介護予防まで、無料で相談できます。

お住まいの地域のセンターは、市区町村の公式サイトで確認できます。

※本記事は2026年7月時点の制度に基づく一般的な解説です。制度の詳細や最新情報は、お住まいの市区町村の窓口や厚生労働省 介護・高齢者福祉でご確認ください。

よくある質問

よくある質問

介護保険の申請にお金はかかりますか?

かかりません。要介護認定の申請、認定調査、ケアプランの作成は、いずれも自己負担なしで利用できます。

申請してからどれくらいでサービスを使えますか?

認定結果の通知は、原則として申請から30日以内です。急を要する場合は、認定前でも暫定的にサービスを利用できるしくみがあるため、窓口やケアマネジャーに相談してください。

家族が代わりに申請できますか?

できます。家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などによる申請代行も可能です。遠方に住んでいる場合も、まずは親御さんがお住まいの市区町村の窓口に電話で相談してみてください。

40代や50代でも介護保険サービスを使えますか?

40〜64歳の方は、脳血管疾患や若年性認知症など、国が定める特定疾病が原因で介護が必要になった場合に利用できます。原因がそれ以外(交通事故など)の場合は、障害福祉サービスなど別の制度が窓口になります。

認定結果に納得できないときはどうすればいいですか?

まずは市区町村の窓口に相談してください。状態と認定結果が合っていない場合には、「区分変更申請」で見直しを求める方法があります。

まとめ|流れさえ知れば、介護保険は怖くない

まとめ

介護保険サービスは、「申請→認定調査→審査→認定→ケアプラン→利用開始」という決まった流れで使えるようになります。

申請は無料で、地域包括支援センターに相談すれば、申請代行も含めて支援してもらえます。

大切なのは、限界まで抱え込まずに、早めに相談を始めることです。

介護は情報戦です。制度の流れを知っているかどうかで、ご本人とご家族の負担は大きく変わります。

この記事が、最初の一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。

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